総合論文紹介

超加工食品は“カロリーが同じでも”男性の脂肪・ホルモン・精子運動性に悪影響

スナップサマリー

  • UPF(超加工食品)食は、同じカロリーでも体脂肪を約+1.0 kg増やし、LDL:HDL比を+0.385上昇、拡張期血圧を+4.8 mmHg上昇(群により有意)。精子総運動率は−13.2%の低下傾向。
  • 意義:20〜35歳男性でも食の“加工度”そのものが代謝と生殖の指標を悪化。UPFを減らすだけで、短期でも改善が見込めます。
  • 注意:3週間×2期の短期・自由生活下の試験。主要アウトカム(精子DNAメチル化)は別報予定で、再現性要検証です。

研究を読むきっかけ

欧米では摂取カロリーの50%以上をUPFが占めるとの報告があり、生活習慣病だけでなく精神健康や生殖にも影響が疑われています。 営業職の佐藤さん(35歳・出張多め)は、空港やコンビニ食が中心。カロリーは気にしているけれど、ついサンドイッチやスナック、甘い飲料で済ませがち。最近は体重が微増し、夕方のだるさも気になる。 今回紹介する論文は、同じカロリーでもUPFが代謝・ホルモン・精子指標に与える影響を直接検証しました。(私も“カロリーだけ”を見て選んでいた時期があり、反省しました…)

研究の紹介(論文情報)

1分サマリー

(狙いと新規性)“UPFの悪影響は過剰摂取(カロリー)のせいなのか、それとも加工度そのものなのか?”を、カロリーを厳密に一致させた食事で検証した二重腕2×2クロスオーバーRCT(自由生活)です。 詳細(箇条書き)英語

  • 原題:Effect of ultra-processed food consumption on male reproductive and metabolic health自然な
  • 邦題:超加工食品の摂取が男性の代謝・生殖健康に及ぼす影響 雑誌・年:Cell Metabolism, 2025; 37:1–11. doi:10.1016/j.cmet.2025.08.004 著者:Preston JM(第一)、Barrès R(最終)ほか 第一所属/国:コペンハーゲン大学 Novo Nordisk Foundation Center(デンマーク) デザイン:自由生活下の2×2クロスオーバーRCT(Adequateカロリー群/Excess群に分け、各群で未加工食 vs 超加工食を3週間ずつ、12週間のウォッシュアウトを挟んで実施)。

主要アウトカムは別報予定(精子DNAメチル化)。 登録番号:NCT05368194(ClinicalTrials.gov) 倫理承認:H-20061598(デンマーク首都圏研究倫理委員会) 資金・COI:Novo Nordisk財団ほか。著者の一部に製薬企業からの謝金等あり 対象者:健康な男性 20–35歳、BMI 18.5–30、n=43(無作為化) 介入: UPF食:NOVA4由来のエネルギー比 約77% 未加工食:NOVA1+2由来 約72%(NOVA1:66%) カロリー:各フェーズで同量(Adequate=推定必要量、Excess=+500 kcal/日)に設計・提供 主要評価:体重・体脂肪・脂質、血圧、ホルモン(GDF-15, FSH, テストステロン等)、精液所見、汚染物質(cxMINP等)、炎症マーカー 期間:各食事3週間、ウォッシュアウト12週間

研究の要旨(Abstract)

冒頭3行要約 絶対差:体脂肪はUPF食で+1.00 kg(Adequate群)/+0.96 kg(Excess群)、LDL:HDL比は+0.385(Adequate群)、拡張期血圧は+4.83 mmHg(Excess群) 意義:同カロリーでもUPFが代謝・生殖の複数指標を悪化(GDF-15低下、FSH低下、精子運動率低下傾向) 限界:二次アウトカム中心、短期かつ自由生活。

汚染物質は実生活より低めに見積もられた可能性 短文ストーリー未加工食からUPFへ切り替えると、体重+1.3〜1.4 kg、体脂肪+約1.0 kgが積み上がりました。相対差では体脂肪が+6.9%(Adequate)、+6.1%(Excess)、LDL:HDL比は+20.8%上昇(Adequate)。

95%CIとp値は下記の通り: 体重:+1.41 kg(95%CI 0.57–2.25, p=0.027, Adequate)/+1.28 kg(0.47–2.08, p=0.032, Excess) 体脂肪:+1.00 kg(0.41–1.64, p=0.027, Adequate)/+0.96 kg(0.38–1.53, p=0.027, Excess) LDL:HDL比:+0.385(0.171–0.603, p=0.027, Adequate) 総コレステロール:+0.544 mmol/L(0.207–0.879, p=0.027, Adequate) 拡張期血圧:+4.83 mmHg(1.92–7.73, p=0.027, Excess) GDF-15:−51.9 pg/mL(−81.2〜−22.8, p=0.027, Excess) FSH:−0.522 IU/L(−0.851〜−0.193, p=0.027, Excess) 精子総運動率:−13.23%(−26.28〜−0.18, p=0.162, 趨勢)

研究内容を対話で読む

佐藤(35歳・営業):カロリーが同じなら、UPFでも太らないと思ってました…。

専門家実際には体脂肪が約+1.0 kg増え、LDL:HDL比も+0.385上昇しました。つまりカロリーだけでは説明できない影響が見られます。

佐藤男性ホルモンとか、生殖機能も?

:FSHが−0.52 IU/Lと有意に低下、テストステロンも低下傾向。さらに精子運動率が−13%低下傾向でした。つまり…「若い男性でも油断禁物」です。

佐藤加工食品には添加物や容器の化学物質が心配です。

:血清でcxMINP(フタル酸代謝物)の増加傾向が見られ、内分泌かく乱の可能性も示唆されました。つまり…「包装由来の曝露も複合要因の1つ」ですね。

佐藤安全性は?短期間でも体に負担は?

:拡張期血圧の上昇などの変化があり、炎症系は複雑でした(未加工食期に一部サイトカイン上昇も)。つまり…「短期でも体は反応する」のです。

佐藤じゃあ、まず何から?

:“加工度”の高い主食・間食・飲料を1つだけ未加工に置き換えるのが第一歩。つまり…「全部やらずに“1つ”変える」でOKです。

忙しいビジネスパーソンの実践ガイド

【やること】朝のパン+甘い飲料を“ご飯+味噌汁+無糖茶”に置換 理由:同カロリーでも加工度を下げると脂質・血糖・ホルモンの波を整えやすい 注意:塩分は具材で調整(漬物→野菜・豆腐に) 期間:まず2〜3週間(本試験と同じ) 【やること】オフィスの“菓子・スナック”を“ナッツ&果物”へ 理由:ハイパーパラタビリティ(止まらない美味しさ)を回避、食べ過ぎ抑制 注意:ナッツは素焼き・小分けで 期間:毎日15:00の固定スナックを置換 【やること】出張時の“UPF一辺倒”を“1食は未加工寄り”に 理由:連続3週間でも指標が動くため、旅先こそ加工度を意識 注意:サラダ単品はNG(卵・魚・豆でタンパク質を足す) 期間:出張中ずっと 【やること】「原材料5つ超+難読添加物多数」は買う前に一旦戻す 理由:NOVA分類のUPFに該当しやすい 注意:ヨーグルトはプレーン基準、味付けは自分で 期間:習慣化

まとめ

主要指標の再掲UPFは体脂肪+~1.0 kg、LDL:HDL比+0.385、拡張期血圧+4.83 mmHg、FSH低下と関連。同カロリーでも悪化が確認されました。 今日からできる一歩:“加工度の高い1品”を“低加工”へ置換。続けるほど差が出ます。 物語の回収:佐藤さんは出張でも1日1食“未加工寄り”を徹底。夕方のだるさが軽くなり、体重の微増もストップ。あなたは何から置き換えますか?(私も“おやつ置換”を継続中です)

関連論文ピックアップ

・Valle-Hita C, et al. Ultra-processed food consumption and semen quality:Hum Reprod Open, 2024:UPF高摂取ほど精子数・運動率が低い関連。pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/38283622/・Hall KD, et al. Ultra-Processed Diets Cause Excess Calorie Intake and Weight Gain:Cell Metab., 2020:UPFは入院RCTでも過食と体重増を誘発。

pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/33027677/・Hamano S, et al. Ultra-processed foods cause weight gain … reduced chewing frequency:Diabetes Obes Metab., 2024:咀嚼回数の減少が摂取量増にリンク。

pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/39267249 9. あわせて読みたい(関連記事カード)note.com/kgraph_/n/n10cab44d8369 note.com/kgraph_/n/ndd0d75ea007d note.com/kgraph_/n/n58e5ec58d615 10. ハッシュタグ#超加工食品 #男性不妊 #メンズヘルス #脂質異常症 #生活習慣 #ホルモン #FSH #GDF15 #栄養学 #RCT

参考文献

  1. 1Preston JM, Iversen J, Hufnagel A, et al. Effect of ultra-processed food consumption on male reproductive and metabolic health. Cell Metab. 2025;37:1–11. doi:10.1016/j.cmet.2025.08.004 Hall KD, et al. Ultra-Processed Diets Cause Excess Calorie Intake and Weight Gain: An Inpatient Randomized Controlled Trial. Cell Metab. 2020. doi:10.1016/j.cmet.2020.08.014 Hamano S, et al. Ultra-processed foods cause weight gain… reduced chewing frequency. Diabetes Obes Metab. 2024;26(11):5431–5443. doi:10.1111/dom.15922 Valle-Hita C, et al. Ultra-processed food consumption and semen quality. Hum Reprod Open. 2024. doi:10.1093/hropen/hoae016 本記事は医学的助言ではありません。健康状態や服薬中の方は、開始前に医療専門職へご相談ください。

この記事を書いた人

岡本 賢

医師。愛育病院で小児科の臨床に立つかたわら、日経メディカルで連載。CrossFit Level 1 Trainer の資格を持ち、HYROX にも出場する。Business Athlete Club では、運動・睡眠・栄養の研究を、働く人の毎日の選択に訳して届けている。

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