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温泉とサウナで血中脂質は改善する?専門家合意による新レビュー

スナップサマリー

  • 若年〜中年層では、温泉やサウナ利用で総コレステロール12〜14%、LDLコレステロール9〜11%低下(弱い推奨)。
  • 運動と組み合わせると効果増。生活習慣改善の一環として心血管予防に有望。
  • 高齢者では有意な改善はみられず。短期・小規模研究が多く、再現性の検証が必要。

研究を読むきっかけ

日本人の死因第2位である心疾患。その主要なリスク因子のひとつが脂質異常症です。治療は薬だけでなく、生活習慣改善が基本とされています。47歳の営業職・田中さん。外回りや出張で外食が多く、健診で「コレステロール高め」と指摘されました。薬はまだ早いと言われたものの、何をすればよいか悩んでいます。そんな中で耳にしたのが「温泉やサウナが脂質に良い」という話。本当なのでしょうか?日々の健康を考えると、気になりますよね。(私も温泉好きなので興味津々です)

研究の紹介(論文情報)

  • タイトル:Hot spring and sauna use for improving blood lipid profiles: A systematic review and expert consensus on efficacy and recommendations(
  • 邦題:温泉・サウナ利用による血中脂質改善:システマティックレビューと専門家合意)
  • 雑誌:Complementary Therapies in Medicine, 2025年, Article ID 103241
  • 著者:第一著者 Satoshi Yamasaki/最終著者 Takahiko Horiuchi/著者数5名
  • 第一所属機関:日本(詳細:不足)
  • 研究デザイン:PRISMAに基づくシステマティックレビュー+専門家合意
  • 登録番号:PROSPERO CRD420251063673
  • 対象者:成人(18歳以上)を含む7件のRCT(若年〜中年・高齢層)
  • 介入:温泉浴・サウナ(単独または運動併用)、2〜12週
  • 比較群:運動のみ、標準ケア、無介入
  • 主要評価項目:血中脂質(TC, LDL-C, HDL-C, TG)
  • 結果:若年層でTC・LDL低下(12〜14%, 9〜11%)、高齢層では効果なし
  • 有害事象:重篤例なし、一時的低血圧23%
  • 資金:日本 厚生労働科学研究費 24FA1004
  • COI:第一著者が資金関連サポートあり
  • DOI:10.1016/j.ctim.2025.103241

研究の要旨(Abstract)

このレビューは330本の論文から7件のRCTを精査しました。若年〜中年層では、温泉・サウナが総コレステロールを最大−19mg/dL低下、LDLも9〜11%低下。特に運動と組み合わせると改善幅が大きいとされました。一方、高齢層(平均年齢60歳以上)では効果が乏しく、基礎疾患や代謝の低下が影響している可能性が指摘されました。安全面では重篤な副作用はなく、注意すべきは入浴後の一過性の血圧低下のみでした。ただし、研究は小規模・短期間であり、効果の持続や実臨床への応用には再現性の検証が必要です。

研究内容を対話で読む

田中さん「先生、温泉に通えばコレステロールは下がるんですか?」

専門家「若い人では下がる傾向があります。例えばTCが12%、LDLが10%くらい下がった研究があります。ただ60歳以上では効果が薄いですね。つまり…年齢によって効き方が違います」

田中さん「運動も必要ですか?」

専門家「はい。運動+サウナだと効果がより大きいと報告されています。つまり…単独よりも組み合わせが有効です」

田中さん「副作用はないんでしょうか?」

専門家「重い副作用はありませんでした。ただ一時的に血圧が下がる人が23%いました。心疾患や薬を使っている方は注意が必要です。つまり…安全に楽しむ工夫が大切です」

田中さん「誰に向いているんですか?」

専門家「薬が必要な前段階の人、40〜50代の脂質がやや高い方に合うかもしれません。つまり…あくまで補助的な手段と考えるのが賢明です」

忙しいビジネスパーソンの実践ガイド

  • 週2回以上、軽い運動と温泉・サウナをセットに理由運動後にサウナを組み合わせた研究でコレステロールが有意に低下。注意持病がある方は必ず医師相談。期間2〜3か月の継続で変化が見えやすい。
  • 入浴は10〜20分、40℃前後の温泉を選ぶ理由高温・高ミネラルの泉質が効果を高める可能性。注意のぼせや低血圧に注意。期間週3〜5回が目安。
  • 睡眠リズムを整える理由温泉・サウナは睡眠改善効果も報告。脂質代謝との相乗効果あり。注意夜更かし・短時間睡眠は逆効果。期間毎日7時間前後を目安に。

まとめ

このレビューによれば、若年層で温泉・サウナはTCを12〜14%、LDLを9〜11%低下させる可能性があります。ただし高齢者では効果が見られず、研究の規模や期間も限られています。薬の代わりにはなりませんが、健康習慣の一部として活用できるかもしれません。田中さんも「運動と温泉セット」を始めれば、将来の自分に良い投資になるでしょう。あなたも次の休日、温泉で体をいたわってみませんか?(私もやってみたくなりました)

関連論文ピックアップ

  • The effect of sauna bathing on lipid profile in young, physically active male subjects — Int J Occup Med Environ Health, 2014:若年男性でサウナにより脂質改善の可能性。pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/25223315
  • Cardiovascular and other health benefits of sauna bathing: a review:Mayo Clin Proc, 2018:サウナの包括的健康効果レビュー。pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/30077591
  • The effect of balneotherapy on metabolic indices in patients with cardiovascular risk factors:Contemp Clin Trials, 2011:温泉療法の心代謝指標改善。

pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/21767535

参考文献

  1. 1Yamasaki S, Tokunou T, Kashiwado Y, Makishi M, Horiuchi T. (2025). Hot spring and sauna use for improving blood lipid profiles: A systematic review and expert consensus on efficacy and recommendations. Complement Ther Med, Article 103241. doi.org/10.1016/j.ctim.2025.103241
  2. 2Chen Y, Luo F, Han L, et al. (2023). Centralized health management based on hot spring resort improves physical examination indicators and sleep quality. Int J Biometeorol, 67(12), 2011–2024. doi.org/10.1007/s00484-023-02558-5
  3. 3Lee E, Kolunsarka I, Kostensalo J, et al. (2022). Effects of regular sauna bathing in conjunction with exercise on cardiovascular function. Am J Physiol Regul Integr Comp Physiol, 323(3), R289–R299. doi.org/10.1152/ajpregu.00076.2022

この記事を書いた人

岡本 賢

医師。愛育病院で小児科の臨床に立つかたわら、日経メディカルで連載。CrossFit Level 1 Trainer の資格を持ち、HYROX にも出場する。Business Athlete Club では、運動・睡眠・栄養の研究を、働く人の毎日の選択に訳して届けている。

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