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ほぼ全員が“何かのリスク”を抱えていた?心血管疾患発症前の「見逃された非最適リスク」

元になった研究Journal of the American College of Cardiology (JACC)・2025年前向きコホート研究

スナップサマリー

1 主要結論:心疾患・脳卒中・心不全の発症前、99%以上が血圧・血糖・脂質・喫煙のいずれかで非最適状態。2 意義:自覚がなくても「少し高め」の状態が長く続くと、ほぼ例外なく発症に至る可能性。3 注意:一見正常でも「最適ではない」段階で介入すべき。再現性要検証。

導入(ストーリー)

46歳の営業職・佐藤さんは、毎年の健康診断で「少し血圧が高めですね」と言われつつも、忙しさを理由に特に治療はせず、夜の会食と出張生活を続けていました。ところがある朝、軽い胸の違和感で受診した結果、冠動脈疾患の初期症状と診断。「でも、重度の高血圧でも糖尿病でもなかったのに?」と彼は驚きます。そんな疑問に答えるような研究が、韓国と米国の二国間で行われました。病気になる人の多くは、「何もない人ではなく“少し足りない最適”だった」。(たしかに、自分も“ちょっと高め”を放置しているかも…)

研究の紹介(論文情報)

研究の要旨(Abstract)

「リスク因子がないのに心疾患になる人がいるのでは?」という疑問に対し、研究チームは韓国9百万人と米国6千人超の追跡データを解析しました。結果、冠動脈疾患・心不全・脳卒中のいずれでも、発症前に少なくとも1つの非最適リスク因子を持っていた人が99%以上。さらに、2つ以上のリスクを抱えていた割合も93〜97%に達しました。つまり「高血圧」や「糖尿病」と診断される前の、“ちょっと高め”“少し悪化”の段階が、静かに心血管疾患のスタート地点になっていたのです。この結果は、「リスク因子なしの心疾患は珍しい」という従来の見方を強く支持するものでした。ただし、観察研究であり因果関係は断定できず、再現性の検証が必要です。

4. 研究内容を対話で読む

佐藤さん「先生、僕みたいに“ちょっと高め”でも危ないんですか?」

専門家「ええ。この研究では、発症した人の99%以上に“最適ではない”血圧や血糖がありました。」

  • つまり、正常上限でも油断できません。

佐藤さん「でも、薬を飲むほどじゃないし…」

専門家「まさにそのグレーゾーンを放置しないのが“原始予防”です。食事・運動で戻せる段階です。」

  • 発症前に軌道修正するのがカギです。

佐藤さん「じゃあ、どんなことを気をつければ?」

専門家「塩分・油・喫煙・睡眠。特に血圧120/80を超えたら要注意です。」

  • “最適”を保つ意識が命を守ります。

忙しいビジネスパーソンの実践ガイド

  • 朝の血圧を測る習慣をつけよう
  • 理由:小さな上昇でも早期発見が可能。
  • 注意:出勤前の慌ただしい時間を避け、深呼吸後に測定。
  • 期間:まず2週間、毎日同じ時間に。

ランチの「塩分オーバー」を週3回減らす

  • 理由:ナトリウム摂取量を1日2g減らすだけで血圧低下に直結。
  • 注意:ドレッシング・味噌汁・漬物を控えめに。

1日15分だけ早歩きに切り替える

  • 理由:中強度運動で血糖・血圧・コレステロールを同時改善。
  • 注意:無理にジョギングせず、“少し息が上がる速さ”が最適。

まとめ

この研究が伝えるのは、病気は突然ではなく、“少しのズレ”が積み重なる結果だということです。心血管疾患の発症者の99%以上が、何らかの非最適リスク因子を持っていたという数字は衝撃的でした。今日からできる一歩は、「正常」よりも“最適”を目指す意識。血圧・血糖・脂質を“正常値ギリギリ”で満足せず、ライフスタイルで下げていく。佐藤さんのように、気づいた今こそスタートラインかもしれません。(私も今日から味噌汁を半分残してみます)

関連論文ピックアップ

・Khan SS et al., JAMA, 2024:血圧120mmHg未満維持でCVDリスクが最小に。・Kim HC et al., Circulation, 2023:若年成人の非最適血糖と心疾患リスク。・Greenland P et al., EHJ, 2022:“最適リスク”維持が寿命を延ばす可能性。

参考文献

  1. 1Lee, H., Huang, X., Khan, S.S., Son, D., Lee, H.-H., Kim, E.-J., Lloyd-Jones, D.M., Kim, H.C., & Greenland, P. (2025).Very High Prevalence of Nonoptimally Controlled Traditional Risk Factors at the Onset of Cardiovascular Disease.Journal of the American College of Cardiology, 86(14).[PubMedリンク未確認/DOI不足]

この記事を書いた人

岡本 賢

医師。愛育病院で小児科の臨床に立つかたわら、日経メディカルで連載。CrossFit Level 1 Trainer の資格を持ち、HYROX にも出場する。Business Athlete Club では、運動・睡眠・栄養の研究を、働く人の毎日の選択に訳して届けている。

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