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高たんぱく神話の落とし穴?痩せ型男性の体重維持に「低たんぱく+FGF21」がもたらす意外な結果

研究を読むきっかけ

⏰平日の朝、マーケティング会社で働く健太(35歳)は、体重維持に悩んでいた。最近、筋トレ仲間から「たんぱく質は多めが正義!」と聞かされ、毎日プロテインを欠かさない日々。しかし同僚のリサ(32歳)は違った視点を持っていた。「最近、"低たんぱく食"で代謝が上がるって論文、話題になってるよ」と話す。

健太「え、減らしてもいいの?」と驚くが、その論文には私たちの常識を覆す発見が詰まっていた…。

研究の紹介(論文情報)

この研究は、デンマーク・コペンハーゲン大学などの国際チームによって行われたもの。

  • 英語
  • 原題:Dietary protein restriction elevates FGF21 levels and energy requirements to maintain body weight in lean men
  • 日本語訳:「食事性たんぱく質制限はFGF21レベルと体重維持に必要なエネルギー量を増加させる」
  • ジャーナル:Nature Metabolism
  • 出版年:2025年3月
  • 第一著者:Trine S. Nicolaisen
  • 最終
  • 著者:Bente Kiens
  • 第一所属機関:University of Copenhagen, Department of Nutrition, Exercise and Sports本研究では、健康で痩せ型の男性が「最低限のたんぱく質量に抑えた食事(低たんぱく食)」を摂取すると、体重維持のためにエネルギー摂取量が増加するということが示された。また、この変化にはFGF21(線維芽細胞増殖因子21)というホルモンが深く関与していることも明らかにされた。

研究の要旨(Abstract 全文)

重要性

たんぱく質制限がマウスの代謝を改善することは知られていたが、人間における効果は不明だった。

目的

健康な痩せ型男性に対して、5週間の「たんぱく質制限食(必要最低量を満たす)」を実施し、体重維持に必要なエネルギーや代謝への影響を調べた。

方法

参加者はたんぱく質を制限し、脂質または炭水化物で代替した食事を5週間続けた後、通常の食生活(高たんぱく)に戻すというプロトコルを実施。

結果

  • 食事たんぱく質を減らすとエネルギー摂取量が19〜21%増加。
  • FGF21ホルモンの血中濃度は270〜360%上昇。
  • エネルギー消費の増加は、白色脂肪組織のミトコンドリア変化と関連。
  • 同様の変化はFGF21を持たないマウスでは観察されず、FGF21依存であることが示唆された。

結論

痩せ型の男性がたんぱく質を制限するには、より多くのエネルギー摂取が必要となる。この背景には、FGF21を介した脂肪組織の代謝適応が存在する可能性がある。

研究内容を対話で読む

健太「リサ、本当にたんぱく質減らして代謝が上がるの?」

リサ(研究医)「うん、この論文では5週間のたんぱく質制限で、FGF21っていうホルモンが3倍近く増えたの」

健太「それって筋肉減らないの?」

リサ「面白いことに、筋肉も脂肪もほとんど減らなかった。でも、体重を維持するためにエネルギーは1日で約500kcal多く必要になったんだって」

健太「…つまり、食べてるのに痩せる?いや、燃費が悪くなる感じ?」

リサ「その通り!FGF21がミトコンドリアの働きを変えて、カロリーが“漏れて”消費されるみたいよ」

忙しいビジネスパーソンのための実践ガイド

  • 「高たんぱく=痩せる」は万能ではない
  • 最低限のたんぱく質でも、代謝アップ効果あり(FGF21が関与)
  • 食事内容を変えても、運動量を増やさずに代謝向上が可能
  • 極端な制限ではなく、「必要最低限のたんぱく質(約0.8g/kg)」を守る
  • 自分のエネルギー摂取量を把握し、調整する習慣を

まとめ

「プロテインを減らしても、筋肉も体重も維持できた…むしろエネルギーを多く使ったなんて!」と驚く健太。私たちが信じていた“高たんぱく神話”を、今こそ見直すタイミングかもしれません。あなたの食生活、エネルギーは「効率的に使われて」いますか?

関連論文ピックアップ

  • FGF21 is an endocrine signal of protein restrictionJournal of Clinical Investigation, 2014たんぱく質制限によりFGF21が急増し、代謝に影響することを示したマウス研究
  • FGF21 is required for protein restriction to extend lifespan and improve metabolic health in male miceNature Communications, 2022FGF21がなければ、たんぱく質制限の恩恵は受けられないことを証明
  • FGF21 regulates metabolism through adipose-dependent and -independent mechanismsCell Metabolism, 2017FGF21の代謝作用は脂肪組織以外にも波及する可能性を指摘

参考文献

  1. 1Nicolaisen, T. S., et al. (2025). Dietary protein restriction elevates FGF21 levels and energy requirements to maintain body weight in lean men. Nature Metabolism, 7, 602–616. doi.org/10.1038/s42255-025-01236-7

この記事を書いた人

岡本 賢

医師。愛育病院で小児科の臨床に立つかたわら、日経メディカルで連載。CrossFit Level 1 Trainer の資格を持ち、HYROX にも出場する。Business Athlete Club では、運動・睡眠・栄養の研究を、働く人の毎日の選択に訳して届けている。

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