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ゼロカロリー甘味料が脳を“空腹モード”に?体重別に異なる反応とは

研究を読むきっかけ

⏰ 午後3時、プレゼン前のひと休み。マーケティング部の陽子さん(35歳)は、自販機で「カロリーゼロ」のダイエット炭酸を選んだ。「甘いけど太らないって最高じゃない?」と隣の席のエンジニア佐藤さんに話すと、彼はふと呟く。「でも、ゼロカロリーって本当に“脳”にとってもゼロなのかな?」そんな何気ない会話が、驚きの研究結果に出会うきっかけとなった。

研究の紹介(論文情報)

今回紹介するのは、USC(南カリフォルニア大学)とテュービンゲン大学の共同研究。

  • 英語
  • 原題:Non-Caloric Sweetener Effects on Brain Appetite Regulation in Individuals Across Varying Body Weights
  • 日本語訳:体重別にみたノンカロリー甘味料が脳の食欲制御に与える影響
  • ジャーナル名:Nature Metabolism(2025年3月発表)
  • 第一著者:Kathleen Page
  • 最終
  • 著者:Stephanie Kullmann
  • 第一所属機関:USC(南カリフォルニア大学)この研究では、人工甘味料の代表格「スクラロース」が、カロリーを含む砂糖(スクロース)や水と比較して脳の「空腹に関係する領域=視床下部」にどのような影響を与えるかを調べました

研究の要旨(Abstract 全文)

重要性スクラロースはカロリーゼロでありながら甘味を感じられるため広く利用されていますが、脳の食欲制御にどう影響するのかは議論が分かれてきました。 目的スクラロース摂取が、視床下部の血流(=空腹の指標)や脳のネットワークにどのように作用するのかを、砂糖や水と比較して検証。 方法18~35歳の75名を対象に、スクラロース、スクロース、水を摂取させ、摂取前後の視床下部血流・血糖値・空腹感をMRIと血液検査で測定。個人の体重別に分析も行いました。 結果

  • スクラロース摂取後は、スクロースや水よりも視床下部の血流が有意に上昇
  • 空腹感もスクラロース摂取で増加
  • 砂糖では血糖上昇→視床下部の血流減少という“満腹反応”が確認されたが、スクラロースでは見られず
  • 肥満のある人ではスクラロースに対する視床下部の感受性が特に高かった
  • 結論ノンカロリー甘味料は脳の空腹制御に影響を与える可能性があり、特に肥満の人ではその影響が強まることが示唆されました。

研究内容を対話で読む

陽子「ゼロカロリーなら安心と思ってたけど…脳は騙されてるってこと?」研究者の加藤先生(神経内科医)「その通りです。視床下部の血流が増える=脳が“もっと食べたい”と判断している状態です。スクラロースでは血糖が上がらないため、満腹のシグナルが届かないんです。」陽子「じゃあ、私が午後になるとお菓子を探し始めるのは…」加藤先生「ゼロカロリー飲料の“甘さ”が、逆に空腹感を刺激してるのかもしれませんね。」

忙しいビジネスパーソンのための実践ガイド

  • 飲み物の選択肢に注意空腹を避けたいときは「無糖・無甘味」の水やお茶を選ぶ
  • ゼロカロリー=ゼロインパクトではない:脳への影響も意識すること
  • ダイエット中は「甘さの演出」に惑わされない工夫を
  • 食事との組み合わせを工夫:ノンカロリー飲料だけでなく、たんぱく質や食物繊維を加えると満足感アップ

まとめ

陽子さんはふと気づく。「私の脳は、“甘さ”に振り回されていたのかも…」ゼロカロリーに隠れた“脳の反応”という落とし穴。あなたの飲み物選び、見直してみませんか?

関連論文ピックアップ

  • Artificial sweeteners induce metabolic dysregulation via microbiome changesNature, 2022
  • マウス研究で腸内細菌への影響を示し、代謝異常との関連を報告。
  • Sweet Taste Without Calories: Sucralose Alters Neural ResponsesNutritional Neuroscience, 2021
  • fMRIによる脳活動の変化を追跡した研究。
  • Low-calorie sweeteners and appetite control: a reviewNutrition Reviews, 2020
  • ノンカロリー甘味料と空腹感の関係についてのレビュー。

参考文献

  1. 1Page, K. et al. Non-Caloric Sweetener Effects on Brain Appetite Regulation in Individuals Across Varying Body Weights. Nature Metabolism, 2025. doi.org/10.1038/s42255-025-01227-8
  2. 2Yunker, A. G. et al. Obesity and sex-related associations with differential effects of sucralose vs sucrose on appetite and reward processing: A randomized crossover trial. JAMA Netw Open. 2021.※本記事は医学的助言を目的としたものではありません。健康に関する決定は専門家とご相談ください。

この記事を書いた人

岡本 賢

医師。愛育病院で小児科の臨床に立つかたわら、日経メディカルで連載。CrossFit Level 1 Trainer の資格を持ち、HYROX にも出場する。Business Athlete Club では、運動・睡眠・栄養の研究を、働く人の毎日の選択に訳して届けている。

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