スナップサマリー
1 英国の食事指針(Eatwell Guide)に沿っても、最小加工食(MPF)は超加工食(UPF)より体重減少が大きい。2 MPF食では脂肪量・体脂肪率・中性脂肪も有意に低下。3 ただし、UPF食も「健康的に設計されていれば」一定の減量効果があり、加工度の視点が今後の栄養政策の鍵に。
研究を読むきっかけ
朝から商談続き、昼はコンビニの「高たんぱくサラダチキン&オートミール弁当」。夜は「糖質オフ」の冷凍パスタ。一見ヘルシーだが、すべて超加工食品(UPF) だ。40代営業職の健一さんは、「ちゃんと気をつけているのに、体重が落ちない」と悩んでいた。そんな彼が目にしたのが「加工度に注目した新しい研究」。食材の“作られ方”が、ダイエットの成否を左右するというのだ。(筆者コメント:便利さと成果のバランスを、科学で見直す時期です。)
研究の紹介(論文情報)
- 論文
- タイトル:Ultraprocessed or minimally processed diets following healthy dietary guidelines on weight and cardiometabolic health: a randomized, crossover trial
- 著者:Samuel J. Dicken(第一著者)/Rachel L. Batterham(最終著者)
- 雑誌:Nature Medicine, 2025年, 31巻, 3297–3308
- 研究タイプ:ランダム化クロスオーバー試験(2×2デザイン)
- 登録番号:NCT05627570
- DOI/
- URL:doi.org/10.1038/s41591-025-03842-0
- 資金・COI:医療系チャリティ・非営利団体による資金提供。
産業的影響なし。
焦点英国の「Eatwell Guide」に沿った健康的な食事でも、食品の加工度(UPF vs MPF)によって体重・代謝への影響は異なるのかを検証。
研究の要旨(かみ砕き版)
英国在住の55人(BMI 25〜40、平均43歳)を対象に、-
- 最小加工食品中心の食事(MPF)-
- 超加工食品中心の食事(UPF)を各8週間、間に4週間のウォッシュアウトを挟み、Eatwell Guide準拠の栄養設計で比較しました。主要評価(体重変化%)
- MPF:−2.06%(95%CI −2.99〜−1.13)
- UPF:−1.05%(95%CI −1.98〜−0.13)→ 差 −1.01%(p=0.024)でMPFが有意に優位。主な二次評価:
- 体重 −0.96kg(MPF優位, p=0.019)
- 脂肪量 −0.98kg(p=0.004)、体脂肪率 −0.76%(p=0.010)、内臓脂肪指標 −0.41(p=0.008)
- 中性脂肪 −0.25 mmol/L(MPF優位, p=0.004)
- 一方、LDL-CはUPFでより低下(差 +0.25 mmol/LがMPF不利の方向, p=0.016)
- 自己申告エネルギー摂取はMPFでUPFより−327kcal/日(p=0.005)有害事象:両食とも軽度の胃腸症状が多い。
重篤例なし。UPFで便秘・胃もたれ・疲労などの報告がやや多い傾向。
限界自由生活下での完全な摂取管理は不可、DXA未実施、順序効果の可能性など。
研究内容を対話で読む
健一「どちらも“健康的な食事”なのに、なぜ最小加工のほうが痩せるんですか?」
専門家「加工でエネルギー密度や食感(咀嚼回数・食べやすさ)が変わります。UPFは早食いになりやすく、摂取がかさみやすい。今回もMPFはUPFより平均−327kcal/日少なく、結果として体脂肪の減少につながりました。つまり“噛む手間”も栄養素の一部、ですね。」
健一「じゃあ、UPFは全部やめるべき?」
専門家「全部NGではありません。 本研究のUPFはEatwell準拠で、体重は平均で減っています。実践面では“加工度を意識しつつ、全体の食事品質を底上げ”するのが現実的です。」
実践ガイド(研究を“行動”に変える)
食選びのコツ
1 原材料が短くシンプルな食品を優先(卵・魚・豆・ナッツ・果物・野菜・全粒穀物)。2 「ヘルシー風UPF」は栄養表示の“赤マーク”(脂質・飽和脂肪・糖・塩)に注意。3 朝食シリアル・プロテインバーは“非常用の手段” に。常食は避ける。4 自炊DAYを週2回。切る・焼く・噛むで食事の満足感を底上げ。5 15分以上かけて食べ、よく噛む(満腹感↑・摂取量↓)。
ステップ形式
1 今日から:1食だけMPF化(例:朝はオートミール+プレーンヨーグルト+果物)。2 継続のコツ:“手軽な定番”を3つ決めてローテーション。3 注意点:体調変化(便秘・胃もたれ等)が続く場合は食品の組み合わせと食物繊維・水分を見直す。
まとめ
英国の健康的な食事指針に沿っても、“加工度”の違いだけで体重減少に差が出たことは重要です。最小加工食品中心の食事は、自然に摂取カロリーを抑え、体脂肪を減らす後押しになります。一方で、栄養設計されたUPFが“即NG”というわけではありません。加工度を意識しつつ、食全体の質を高める:この視点が、ビジネスアスリートの現実解です。(筆者コメント:完璧を目指すより「MPFを1食プラス」。今日の一歩が、半年後の結果を変えます。)
関連論文ピックアップ
- Ultra-processed diets cause excess calorie intake and weight gain (Cell Metab, 2019):2週間の代謝病棟RCTでUPFは体重増加。
- UPFと咀嚼の関係(Diabetes Obes Metab, 2024):咀嚼回数低下がエネルギー摂取増と関連。
- Eatwell Guide遵守の健康・環境影響(BMJ Open, 2020):指針遵守者で健康指標と環境負荷が改善。
参考文献
- 1Dicken SJ, Batterham RL, et al. Ultraprocessed or minimally processed diets following healthy dietary guidelines on weight and cardiometabolic health: a randomized, crossover trial.Nature Medicine. 2025;31:3297–3308. doi.org/10.1038/s41591-025-03842-0









