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「痛みがあっても脳は若く保てる?」:行動と心の“保護因子”がもたらす可能性

読了時間8分

  • スナップサマリー(3行)
  • 膝の痛みを抱える中高年197人を2年間追跡。MRIからAIで脳年齢を推定。
  • 楽観性・睡眠の質・社会的支援・非喫煙・腹囲といった「保護因子」が多いほど、脳年齢は若く見える傾向。
  • 保護因子が多い人は平均0.7歳ぶん脳が若い結果に(再現性要検証)。

物語のはじまり

主人公は46歳の営業マン・佐藤さん。出張が多く、膝に違和感を抱えながらも、睡眠は削り気味。「最近、物忘れも増えた気がする。年かなぁ…」そんな佐藤さんに朗報かもしれません。痛みがあっても、生活習慣と心の持ち方次第で「脳年齢」が変わるという研究が報告されました。

どんな研究?

歳)を対象に、2年間にわたって脳MRIを撮影。

AI(DeepBrainNet)で「脳の見た目年齢(脳年齢)」を推定し、実年齢との差(BAG=Brain Age Gap)を分析しました。

何を調べたの?

研究チームは3つの要因に注目しました。

  • 慢性痛ステージ(痛みの頻度・強度・期間など)
  • 社会的リスク(SEリスク):収入・教育・地域の不利度など
  • 行動/心理の保護因子:非喫煙、適正腹囲、楽観性、ポジ感情、社会的支援、良好な睡眠などMRIデータを統計モデルに入れ、「どの要素が脳年齢に関係しているか?」を検証しました。

結果:脳の“見た目年齢”を若くする鍵

  • 慢性痛が強いほど、脳年齢はやや高く(+0.67歳)。
  • 社会的リスクが高いほど、脳年齢は約+1歳高い。
  • 一方で、保護因子が多いほど−0.69歳若く見える傾向に。

2年の追跡でも、保護因子が多い人は平均−0.71歳ぶん脳年齢が低い方向でした。つまり、行動と心の積み重ねが「脳の若さ」を守るかもしれません。

佐藤さんと先生の対話

佐藤「先生、痛みがあるだけで脳も老けるってことですか?」

先生「正確には“痛みの強さ”よりも、“生活と心の状態”のほうが脳年齢に関係していたんですよ。」

佐藤「え、睡眠とか性格で脳が若く見えるってことですか?」

先生「そう。睡眠が安定して、禁煙して、前向きに過ごしている人ほど、MRI上の脳が若い傾向にあったんです。」

佐藤「サプリより、生活改善のほうが効きそうですね。」

先生「まさにその通り。しかも“支えてくれる人がいる”ことも、脳の若さの支えになるようですよ。」

今日からできる5つの行動

この研究で示された保護因子の中から、すぐできるものをピックアップ

  • 睡眠を整える:就寝・起床時間を一定に。6.5〜7.5時間を目安。
  • 禁煙:非喫煙はそれだけで保護点2つ分。
  • 腹囲を意識:男性94cm/女性80cm未満を目安に。
  • 社会的つながり:週1回でも誰かと連絡を取る。
  • 楽観性を育てる:「感謝リスト」や前向きな言葉を意識。
  • 注意点と限界
  • 観察研究のため、因果関係は証明できません。
  • 慢性痛の評価は膝中心で、全身の痛みは十分反映されていません。
  • MRI機器の違いなど技術的要因も考慮が必要です。
  • 結果の再現性は要検証です。

まとめ

痛みの強さよりも、「どう生きるか」が脳の年齢に影響しうる。睡眠・禁煙・腹囲・支援・楽観性:この5つが小さな積み木となり、脳を守る保護壁になるかもしれません。

参考文献

  1. 1Tanner JJ, et al. Brain Communications, 2025;7(5):fcaf344.DOI: 10.1093/braincomms/fcaf344

この記事を書いた人

岡本 賢

医師。愛育病院で小児科の臨床に立つかたわら、日経メディカルで連載。CrossFit Level 1 Trainer の資格を持ち、HYROX にも出場する。Business Athlete Club では、運動・睡眠・栄養の研究を、働く人の毎日の選択に訳して届けている。

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