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通知を切っても幸せにはならない? デジタル・ウェルビーイングの意外な真実

元になった研究Media Psychology・2025年

スナップサマリー

1 通知オフにしても、スマホの使用時間やチェック頻度はほとんど変わらなかった。2 通知を切ることで「FOMO(見逃し不安)」がむしろ高まった。3 一方で、「チェックする意識」は高まり、より“意図的に使う”傾向が見られた。

研究を読むきっかけ

出張先のホテルで、夜も仕事メールが気になる。「少しでも集中したい」と思い、通知をすべてオフにした田中さん(42歳・営業職)。

しかし数時間後、逆にスマホを何度も手に取ってしまう。“通知が鳴らない不安”が、心のどこかでざわついていた。通知を切れば静かになるはずなのに、なぜか心が落ち着かない。そんな経験、あなたにもありませんか?この“通知と心の関係”を科学的に調べた研究が、オランダ・アムステルダム大学とベルリン自由大学のチームによって発表されました。タイトルは『Beyond the Buzz』:つまり、「通知音の向こう側」です。

研究の紹介(論文情報)

焦点「通知をオフにすることで、本当にスマホ依存やストレスは減るのか?」を実証的に検証。

研究の要旨(かみ砕き版)

対象は成人205名。彼らをランダムに分け、・1週間すべてのスマホ通知をオフにする群・通常通り使う群を比較しました。

結果意外にも、通知を切っても 画面を見る回数も、使用時間も、ほとんど変わらず。さらに驚くことに、通知を切った人のほうが「見逃していないか不安(FOMO)」が強まり、逆にスマホを頻繁にチェックする傾向がありました。ただしポジティブな点もありました。通知オフ群は「自分の意思でスマホを使っている感覚」が高く、“より意図的な利用”をしていると感じていました。研究者らは「通知を切る=デジタル幸福が上がる」とは限らず、人によっては“静かすぎる世界”が不安を誘う可能性を指摘しています。

研究内容を対話で読む

田中さん「通知を全部切れば、集中できると思ってたのに…なんで逆に気になるんだろう?」

専門家「それは“FOMO(Fear of Missing Out)”、つまり“見逃す不安”が関係しています。人は通知が来ないと、“大事な連絡を逃したかも”という心理が働くんです。だから、静かになることでかえって確認回数が増えることもあるんですよ。」

田中さん「なるほど…。じゃあ通知は切らないほうがいいんですか?」

専門家「一概には言えません。研究では“通知の一部だけ制御する”方が有効とされています。たとえば“仕事アプリだけON・SNSはOFF”など。通知を完全に遮断するよりも、自分で選択して使う感覚を持つことがポイントです。」

実践ガイド(研究を“行動”に変える)

今日からできる「通知リセット術」

1 優先度を決める:仕事・家族・健康だけON、それ以外はOFF。2 「まとめ通知」機能を活用:1日2回など、時間を決めて受け取る。3 通知音より“視覚通知”を重視:音での反応を減らし、集中を維持。4 通知を切った後は“安心ルール”を設ける:「1時間に1回だけチェック」など。5 “無通知タイム”を作る:会議・運動・食事中はスマホを離す。

まとめ

通知を切れば幸せになれる:その直感は、どうやら単純ではありません。通知をオフにしても使用時間は減らず、むしろ不安が増すことすらある。けれど、“自分で使い方を選ぶ”意識は確実に高まる。つまり、私たちが目指すべきは「通知ゼロ」ではなく、“通知に振り回されない心”なのかもしれません。

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参考文献

  1. 1Dekker, C. A., Baumgartner, S. E., Sumter, S. R., & Ohme, J. (2025). Beyond the Buzz: Investigating the Effects of a Notification-Disabling Intervention on Smartphone Behavior and Digital Well-Being. Media Psychology, 28(1), 162–188.doi.org/10.1080/15213269.2024.2334025

この記事を書いた人

岡本 賢

医師。愛育病院で小児科の臨床に立つかたわら、日経メディカルで連載。CrossFit Level 1 Trainer の資格を持ち、HYROX にも出場する。Business Athlete Club では、運動・睡眠・栄養の研究を、働く人の毎日の選択に訳して届けている。

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