スナップサマリー
1 身体活動・運動強度を 5段階(very low〜very high) に統一する国際的基準を提案。2 自覚的運動強度(きつさ)についても 5段階(very easy〜very hard) を公式化。3 研究・現場・政策で用語がバラバラな現状を改善し、比較や実践をしやすくすることが狙い。
研究を読むきっかけ
「今日は“中強度”で運動してくださいね」。健康診断後の面談でそう言われたものの、何をすればいいのか分からない:これは、出張の多い40代営業職・Aさんの悩みです。ランニングアプリでは “moderate” と書かれ、別のサイトでは “vigorous” が推奨と書かれている。結局どれを信じればいいのか分からず、運動習慣は定着しませんでした。こうした混乱はAさんだけでなく、研究者・トレーナー・医療者の間でも起きています。そこで、世界的な運動科学組織である ACSM(アメリカスポーツ医学会) と ESSA(オーストラリア運動スポーツ科学協会) が共同で、ついに“運動強度の共通言語”を発表しました。「これは実務が一気にやりやすくなるかもしれない」筆者としてもワクワクする内容です。
研究の紹介(論文情報)
焦点各国・研究領域で使われてきた「運動強度の言葉」を統一し、公共政策・研究・医療現場・フィットネス指導で共通に使える枠組みをつくること。
研究の要旨(かみ砕き版)
- なぜ“統一”が必要なのか?
世界ではこれまで、
- light / moderate / vigorous
- low / moderate / high
- あるいは METs(代謝当量)表現などが混在し、研究間の比較が困難でした。同じ「moderate」でも国によって基準が違う、ということも珍しくありません。
- 提案された5段階の“強度カテゴリー”
身体活動・運動強度(客観的)
- Very low
- Low
- Moderate
- High
- Very high
- 自覚的なきつさ(主観的)も5段階に統一
- Very easy
- Easy
- Somewhat hard
- Hard
- Very hardこれまでバラバラだった “ややきつい” “かなりきつい” などの表現が統一され、研究と現場の橋渡しがスムーズになります。
- 安全性・限界
- 本声明は 専門家の合意形成 であり、介入試験ではない。
- 個人差(体力・疾患・年齢)を考慮した適応は今後も必要。
- 国やスポーツ領域での導入には追加の検証が求められる。
研究内容を対話で読む
Aさん(主人公)「中強度とか高強度って、結局どれくらい運動すればいいんですか?」
専門家「今回のACSM × ESSA声明では、強度は“very low~very high”の5段階で統一されました。たとえば moderate(中等度)=“会話はできるが歌えない程度” と理解すると実践しやすいですよ。」
Aさん「なるほど。でもアプリによって書き方が違うことがありますよね?」
専門家「そこが今回の声明の狙いです。研究者もトレーナーも、利用者も 同じ言葉 を使えるようになる。つまり“やるべき強度が分かりやすくなる”ということです。」
Aさん「じゃあ、今日の出張先でもすぐ実践できますね。」
専門家(ちょっとユーモア):「ええ、ホテルの階段を moderate で3階分登るだけでも立派なトレーニングです。くれぐれも very high に飛ばして息切れしすぎないように。」
実践ガイド(研究を“行動”に変える)
運動の強度を身体で理解するコツ
- very low:散歩より軽い“準備運動”レベル
- low:楽に会話できる速さのウォーキング
- moderate:会話はできるが歌えない速さ
- high:呼吸が弾み、短文がやっと
- very high:息が上がり、数十秒が限界
今日からできる一歩
1 まずは moderate 強度で10〜15分 の短時間から2 アプリの用語が違っても 5段階表に置き換えて 理解する3 出張や移動時間は “low〜moderate の活動” を細切れで追加4 週2回は、筋トレや坂道ウォークなど high 強度に近い刺激 を入れる5 急に very high に挑まず、段階的に負荷を調整する
まとめ
ACSM と ESSA が合同で示した新しい“運動強度の共通言語”。これは、忙しいビジネスアスリートにとって 運動を迷わず選べるコンパス になります。強度が統一されることで、研究・政策・現場・個人の実践が同じ土台に乗り、「今日の運動はどれくらいでいいのか?」がはるかに分かりやすくなります。運動を始めるときは、まず moderate から着実に。その積み重ねが、働く身体を確実にアップデートします。
関連論文ピックアップ
- ACSM Physical Activity Guidelines:身体活動基準の国際的指針
- Intensity Domains in Exercise Physiology:強度区分の生理学的背景
- Self-perceived Effort Measures Review:主観的運動強度指標のまとめ
参考文献
- 1Bishop DJ, et al. Physical Activity and Exercise Intensity Terminology: A Joint ACSM Expert Statement and ESSA Consensus Statement.Medicine & Science in Sports & Exercise. 2025.DOI: doi.org/10.1249/MSS.0000000000003795









