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身体活動と運動強度の“言葉”を統一するACSM × ESSA がつくった国際共通ルール

元になった研究Medicine & Science in Sports & Exercise・2025年

スナップサマリー

1 身体活動・運動強度を 5段階(very low〜very high) に統一する国際的基準を提案。2 自覚的運動強度(きつさ)についても 5段階(very easy〜very hard) を公式化。3 研究・現場・政策で用語がバラバラな現状を改善し、比較や実践をしやすくすることが狙い。

研究を読むきっかけ

「今日は“中強度”で運動してくださいね」。健康診断後の面談でそう言われたものの、何をすればいいのか分からない:これは、出張の多い40代営業職・Aさんの悩みです。ランニングアプリでは “moderate” と書かれ、別のサイトでは “vigorous” が推奨と書かれている。結局どれを信じればいいのか分からず、運動習慣は定着しませんでした。こうした混乱はAさんだけでなく、研究者・トレーナー・医療者の間でも起きています。そこで、世界的な運動科学組織である ACSM(アメリカスポーツ医学会) と ESSA(オーストラリア運動スポーツ科学協会) が共同で、ついに“運動強度の共通言語”を発表しました。「これは実務が一気にやりやすくなるかもしれない」筆者としてもワクワクする内容です。

研究の紹介(論文情報)

焦点各国・研究領域で使われてきた「運動強度の言葉」を統一し、公共政策・研究・医療現場・フィットネス指導で共通に使える枠組みをつくること。

研究の要旨(かみ砕き版)

  • なぜ“統一”が必要なのか?

世界ではこれまで、

  • light / moderate / vigorous
  • low / moderate / high
  • あるいは METs(代謝当量)表現などが混在し、研究間の比較が困難でした。同じ「moderate」でも国によって基準が違う、ということも珍しくありません。
  • 提案された5段階の“強度カテゴリー”

身体活動・運動強度(客観的)

  • Very low
  • Low
  • Moderate
  • High
  • Very high
  • 自覚的なきつさ(主観的)も5段階に統一
  • Very easy
  • Easy
  • Somewhat hard
  • Hard
  • Very hardこれまでバラバラだった “ややきつい” “かなりきつい” などの表現が統一され、研究と現場の橋渡しがスムーズになります。
  • 安全性・限界
  • 本声明は 専門家の合意形成 であり、介入試験ではない。
  • 個人差(体力・疾患・年齢)を考慮した適応は今後も必要。
  • 国やスポーツ領域での導入には追加の検証が求められる。

研究内容を対話で読む

Aさん(主人公)「中強度とか高強度って、結局どれくらい運動すればいいんですか?」

専門家「今回のACSM × ESSA声明では、強度は“very low~very high”の5段階で統一されました。たとえば moderate(中等度)=“会話はできるが歌えない程度” と理解すると実践しやすいですよ。」

Aさん「なるほど。でもアプリによって書き方が違うことがありますよね?」

専門家「そこが今回の声明の狙いです。研究者もトレーナーも、利用者も 同じ言葉 を使えるようになる。つまり“やるべき強度が分かりやすくなる”ということです。」

Aさん「じゃあ、今日の出張先でもすぐ実践できますね。」

専門家(ちょっとユーモア):「ええ、ホテルの階段を moderate で3階分登るだけでも立派なトレーニングです。くれぐれも very high に飛ばして息切れしすぎないように。」

実践ガイド(研究を“行動”に変える)

運動の強度を身体で理解するコツ

  • very low:散歩より軽い“準備運動”レベル
  • low:楽に会話できる速さのウォーキング
  • moderate:会話はできるが歌えない速さ
  • high:呼吸が弾み、短文がやっと
  • very high:息が上がり、数十秒が限界

今日からできる一歩

1 まずは moderate 強度で10〜15分 の短時間から2 アプリの用語が違っても 5段階表に置き換えて 理解する3 出張や移動時間は “low〜moderate の活動” を細切れで追加4 週2回は、筋トレや坂道ウォークなど high 強度に近い刺激 を入れる5 急に very high に挑まず、段階的に負荷を調整する

まとめ

ACSM と ESSA が合同で示した新しい“運動強度の共通言語”。これは、忙しいビジネスアスリートにとって 運動を迷わず選べるコンパス になります。強度が統一されることで、研究・政策・現場・個人の実践が同じ土台に乗り、「今日の運動はどれくらいでいいのか?」がはるかに分かりやすくなります。運動を始めるときは、まず moderate から着実に。その積み重ねが、働く身体を確実にアップデートします。

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参考文献

  1. 1Bishop DJ, et al. Physical Activity and Exercise Intensity Terminology: A Joint ACSM Expert Statement and ESSA Consensus Statement.Medicine & Science in Sports & Exercise. 2025.DOI: doi.org/10.1249/MSS.0000000000003795

この記事を書いた人

岡本 賢

医師。愛育病院で小児科の臨床に立つかたわら、日経メディカルで連載。CrossFit Level 1 Trainer の資格を持ち、HYROX にも出場する。Business Athlete Club では、運動・睡眠・栄養の研究を、働く人の毎日の選択に訳して届けている。

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