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「痩せにくい時代」に潜む真実:肥満の原因は運動不足じゃなかった?

スナップサマリー

  • 経済発展が進んでも、運動量(活動エネルギー消費)は意外と減っていない
  • 肥満の主因は「運動不足」より「食べすぎ」だったと明らかに
  • 超加工食品の摂取が肥満と強く関連していることに注意

研究を読むきっかけ

「最近、運動してもなかなか痩せないんだよね…」と嘆くのは、外資系企業で働くマーケターの佐藤さん(35歳)。リモートワーク中心の生活になり、運動不足を気にして週3回のジム通いを始めたが、体重は一向に減らない。「やっぱり運動量が足りないのかな?」そんな疑問を抱えつつ、佐藤さんはある論文に出会う。

研究の紹介(論文情報)

この論文は、アメリカの科学誌PNASに2025年に掲載されたもの。

  • タイトル(英語原題):Energy expenditure and obesity across the economic spectrum
  • タイトル(日本語訳):経済発展とともに変化するエネルギー消費と肥満の関係
  • ジャーナル名・
  • 出版年:PNAS、2025年7月
  • 第一著者:Amanda McGrosky(Elon University)
  • 最終
  • 著者:Herman Pontzer(Duke University)
  • 第一所属機関:Elon University, Department of Biology
  • 研究の目的は、「経済発展による生活の変化が、どのように肥満の増加に関係しているか」を解明すること。

方法としては、世界34の多様な生活スタイルを持つ集団(狩猟採集民・農耕民・都市住民など)における4,213人のエネルギー消費量と体脂肪率・BMIを分析した。

研究の要旨(Abstract 全文)

重要性

経済発展と肥満率の上昇は関連しているが、その要因が「運動不足」か「食べすぎ」かは明らかでなかった。

目的

世界中の多様な集団を対象に、エネルギー消費と肥満指標(BMI・体脂肪率)の関係を明らかにすること。

方法

国連の人間開発指数(HDI)に基づき集団を分類し、二重標識水法を用いてエネルギー消費を測定。基礎代謝・活動代謝などを詳細に分析。

結果

  • 経済発展が進むとBMIや体脂肪率は上昇
  • 絶対的なエネルギー消費量も上昇(体格の影響)
  • 体格を調整した活動代謝(AEE)や身体活動レベル(PAL)はほぼ変わらず
  • 超加工食品の摂取と体脂肪率に強い相関
  • 結論

「運動不足」より「食生活の質」が肥満の主因。特に超加工食品の影響が大きい。

研究内容を対話で読む

佐藤さん「運動してるのに痩せないのは、やっぱり運動量が足りないからですよね?」専門家(公衆衛生学者): 「実は、そうとは限らないんです。この論文では、経済的に発展した国ほど活動エネルギー消費は意外と高いという結果が出ています。つまり、肥満の原因は“動かないこと”ではなく、“食べすぎ”かもしれません。」

佐藤さん「えっ…じゃあ、食生活を見直すべき?」「その通りです。特に、超加工食品(スナック菓子やインスタント食品など)の摂取率が高い人ほど体脂肪率も高かったんです。」

忙しいビジネスパーソンのための実践ガイド

  • 超加工食品の摂取を控える(加工食品の原材料欄をチェック)
  • 食物繊維やたんぱく質を意識して摂取
  • 定期的な体重・体脂肪のチェックで早期リスク発見
  • 運動は体重減少より健康維持・ストレス軽減が目的と心得る
  • 「動いてるのに痩せない」と思ったら、まずは冷蔵庫の中身を見直そう

まとめ

佐藤さんは、ジム通いに加えて冷凍食品を減らし、自炊を増やすことで体脂肪率が徐々に改善。「運動より、食生活を見直すほうが先だったんだな…」忙しい現代人こそ、「動けば痩せる」という思い込みから抜け出し、食環境を整えることが求められている。

関連論文ピックアップ

  • Ultraprocessed food and obesity: evidence from observational studies(BMJ, 2024)超加工食品と肥満の関連を追跡調査で示す
  • Physical activity and total energy expenditure in humans(Science, 2022)身体活動レベルと総エネルギー消費量の関係を検証
  • Economic development and nutrition transition(Lancet Global Health, 2023)経済発展と食生活の変化に関するレビュー

参考文献

  1. 1McGrosky A et al. Energy expenditure and obesity across the economic spectrum. PNAS. 2025 Jul;122(29):e2420902122. doi.org/10.1073/pnas.2420902122
  2. 2WHO: Obesity and Overweight Factsheet※本記事は医学的アドバイスを目的としたものではありません。個別の健康相談は専門医へご相談ください。

この記事を書いた人

岡本 賢

医師。愛育病院で小児科の臨床に立つかたわら、日経メディカルで連載。CrossFit Level 1 Trainer の資格を持ち、HYROX にも出場する。Business Athlete Club では、運動・睡眠・栄養の研究を、働く人の毎日の選択に訳して届けている。

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