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「8時間睡眠」は神話?文化が決める最適な睡眠間とは

スナップサマリー

  • 最適な睡眠時間は国や文化によって異なる
  • 自国の文化的な「理想睡眠時間」に近い人ほど健康状態が良好
  • 全ての国で、実際の平均睡眠時間は理想より1時間以上短い

研究を読むきっかけ

⏰ 朝6時、東京の広告代理店で働く佐藤さん(35歳)は、目覚ましの音で起床。昨夜は深夜1時までプレゼン資料を作成しており、睡眠時間はわずか5時間半。彼は「もっと寝たい」と思いつつも、「仕事が忙しいから仕方ない」と自分を納得させている。一方、パリに住むマリーさん(33歳)は、夜11時に就寝し、朝7時に自然に目覚める。彼女は「8時間睡眠が健康の秘訣」と信じ、毎晩の睡眠を大切にしている。このように、国や文化によって「理想的な睡眠時間」は異なるのだろうか?

研究の紹介(論文情報)

  • タイトル(英語原題): Healthy sleep durations appear to vary across cultures
  • 日本語訳: 健康的な睡眠時間は文化によって異なるようだ
  • ジャーナル名・
  • 出版年: Proceedings of the National Academy of Sciences(PNAS), 2025年5月
  • 第一著者: Christine Ou
  • 最終
  • 著者: Steven J. Heine
  • 第一所属機関: ビクトリア大学(カナダ)この研究では、過去の14の調査データ(計353件)と、20カ国の4,933人から収集した新たなデータを分析し、睡眠時間と健康状態の関係を検討した。

研究の要旨(Abstract 全文)

重要性

過去の研究では、睡眠時間が健康と密接に関連していることが示されているが、国によって平均睡眠時間には大きな差がある。

目的

国ごとの平均睡眠時間と健康状態の関係を明らかにすること。

方法

  • 研究1: 過去の14の調査データ(k = 353)を分析。
  • 研究2: 20カ国の4,933人から睡眠時間と健康状態のデータを収集。

結果

  • 研究1では、国の平均睡眠時間と健康状態には関連が見られなかった。
  • 研究2では、平均睡眠時間は国によって最大1.57時間の差があり、睡眠時間と健康状態の関係はすべての国で二次関数的(U字型)であった。
  • 各国で最適な睡眠時間は異なり、自国の「理想的な睡眠時間」に近い人ほど健康状態が良好であった。

結論

健康に最適な睡眠時間は国や文化によって異なり、文化的な規範が睡眠のニーズを形成している可能性がある。

研究内容を対話で読む

佐藤さん「最近、睡眠時間が短くて体調が優れないんです。やっぱり8時間は寝ないとダメですよね?」専門家(睡眠研究者): 「実は、最新の研究によると、最適な睡眠時間は国や文化によって異なるんです。日本の平均睡眠時間は約6時間18分で、フランスは約7時間52分とされています。」佐藤さん: 「そんなに違うんですね。じゃあ、日本人は6時間半くらいが理想なんですか?」専門家: 「一概には言えませんが、自国の文化的な『理想睡眠時間』に近い人ほど健康状態が良好であることが分かっています。つまり、自分の生活リズムや文化に合った睡眠時間を確保することが大切です。」

忙しいビジネスパーソンのための実践ガイド

  • 自分の生活リズムに合った睡眠時間を見つける
  • 文化的な「理想睡眠時間」を参考にする
  • 無理に8時間睡眠を目指すのではなく、質の高い睡眠を確保する佐藤さんは、これまでの「8時間睡眠が絶対」という考えを見直し、自分の生活リズムに合った睡眠時間を模索するようになった。結果、体調も改善し、仕事のパフォーマンスも向上した。

まとめ

この研究は、「健康的な睡眠時間は文化によって異なる」という新たな視点を提供してくれました。自分の生活リズムや文化的背景を考慮し、無理のない範囲で質の高い睡眠を確保することが、健康への第一歩となるでしょう。

関連論文ピックアップ

  • Considering cross-cultural differences in sleep duration between Japanese and Canadian university studentsPLOS ONE, 2021年日本とカナダの大学生の睡眠時間の違いを比較し、文化的要因が睡眠に与える影響を検討。
  • Association between Sleep Duration and Self-Reported Health Status: Findings from the Bhutan's Gross National Happiness StudyJournal of Clinical Sleep Medicine, 2017年ブータンにおける睡眠時間と自己申告による健康状態の関連性を分析。
  • Association of estimated sleep duration and naps with mortality and cardiovascular events: a study of 116,632 people from 21 countriesEuropean Heart Journal, 2019年睡眠時間と昼寝が死亡率や心血管イベントに与える影響を21カ国で調査。

参考文献

  1. 1Ou, C., Lou, N. M., Maheshka, C., et al. (2025). Healthy sleep durations appear to vary across cultures. Proceedings of the National Academy of Sciences, 122(19), e2419269122. doi.org/10.1073/pnas.2419269122

この記事を書いた人

岡本 賢

医師。愛育病院で小児科の臨床に立つかたわら、日経メディカルで連載。CrossFit Level 1 Trainer の資格を持ち、HYROX にも出場する。Business Athlete Club では、運動・睡眠・栄養の研究を、働く人の毎日の選択に訳して届けている。

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