座っていることは、
それ自体が病。
ジムに通っていても、椅子に長く座っていれば、害は別の経路で進む。座位の害は、運動とは独立にカウントされる。
Lancet 2016 の Ekelund らは、16研究・100万人超の調和メタ解析で、座位時間と運動量を組み合わせて全死亡率を解析した。1日60〜75分の中強度活動でようやく、座位8時間超のリスクをほぼ相殺できる。それ未満の運動量では、座位の害は残る。
Diaz 2017 の研究は、加速度計で測った 7,985 人の座位パターンを追跡し、面白い発見を残した。同じ1日の総座位時間でも、「1回90分以上の連続座位」群は「30分未満で区切る」群より、全死亡率が約2倍高い。問題は座っている合計ではなく、連続して座る時間。
Stamatakis 2019 JACC の14.9万人研究は、衝撃的な答えを返した。週150〜299分のMVPA(推奨量)では、1日8時間超の座位リスクは消えない。週300分超でようやく相殺される。「ジムに行くから大丈夫」は、半分しか当たっていない。
Patterson 2018 の133万人ドーズレスポンス解析でも、1日8時間超で死亡率上昇が加速。Diaz 2017 の含意とあわせると、「30分に1回、2分立つ」が現実的な処方箋。スタンディングデスクは万能ではないが、座位を割る最も簡単な道具。
机に向かって座り続ける者は、座り続けるという、その姿勢そのものから病を得る。— Editorial paraphrase / 編集部による要約
産業医学の祖ラマツィーニは1700年、職業ごとの病をまとめた最初の書を著し、書記や公証人といった「座って働く者」の病に章を割いた。座位が身体を蝕むという観察は、加速度計もメタ解析もない時代に、すでに記されていた。三百年を経て、データが同じ場所を指している。
ジムに通うことと、座り続けないことは、別の問題だった。害を決めるのは座っている合計ではなく、連続して座る時間のほう。三百年前のラマツィーニが書いた一行に、今日のデータがようやく追いついた。30分に1回、2分だけ立つ。それが、座位という病への最も簡単な処方箋になる。