栄養Vol. 066分で読む

オメガ3、食事と処方を分けて。

総量だけ見ると効果はぼやける。特定の高リスク患者に処方した純EPAの結果は、一般のサプリと区別する。

Not the amount, but the ratio.
NUTRITION — OMEGA-3, EPA OVER DHA

量より、
EPA/DHAの比。そこに答えがある。

オメガ3の話は、長らく雑に扱われすぎた。種類と比率と量を分けて見ると、絵がはっきりする。「魚油サプリ全般」では、ぼやけた答えしか出てこない。

氷の上の青魚、市場の朝。Plate II

REDUCE-IT という、量と純度の境

純EPA・高用量が、明らかに有効だった。

Bhatt 2019 NEJM の REDUCE-IT 試験は、スタチン治療下で高TG血症(135〜499 mg/dL)の患者 8,179 人を対象に、純EPA(イコサペント酸エチル)4g/日 vs プラセボを比較した。主要心血管イベントは HR 0.75(25%減、p<0.001)。この高リスク集団で処方薬の効果が認められた。EPA/DHAの比そのものや市販サプリの予防効果を比較した結果ではない。

陶器のスプーンに落ちる金色の一滴。Plate III

通常サプリは、効かなかった

通常用量の混合サプリでは、心血管イベントは減らなかった。

対照的に Aung 2018 JAMA Cardiology のメタ解析(10試験、77,917人)は、通常用量(おおむね 1g/日前後の EPA/DHA 混合)のサプリでは、冠動脈疾患イベントに有意な減少は認められなかった(RR0.96、95%CI0.90〜1.01)。「魚油はとっておけば安心」という過去の常識は、薄まっていく。

−25% MACE
REDUCE-IT 主要心血管イベント
海辺の窓、夜明けの静けさ。Plate IV
NOVEL — Hemingway, The Old Man and the Sea1952
アーネスト・ヘミングウェイ『老人と海』 · Ernest Hemingway, The Old Man and the Sea

老人サンティアゴは、85日目にようやく巨大なカジキを掛ける。海から獲る魚は、雑にひとくくりにはできない。どの魚を、どれだけ、どう獲るか。ヘミングウェイの簡潔な散文が描いたのは、漁という営みの規律だった。オメガ3もまた、「魚油全般」ではなく、種類と比率と量で語られるべきものだ。

機序が告げる、本当のターゲット

予防は食事から、治療は処方として、分けて読む。

Mozaffarian & Wu 2011 JACC の包括レビューは、EPA/DHA の生理作用を抗炎症・中性脂肪低下・抗不整脈・血圧低下で整理した。一般人口での「予防的サプリ」と、特定の高リスク集団での「治療」は別の問題。前者は食事から、後者は処方として分けるのが現代的な読み方。

丸ごと一匹のサバと、瓶に並ぶカプセル。Plates VI–VII
現実への翻訳

健常者の予防はまず青魚を週2〜3回。心血管高リスク・高TG血症の患者は処方薬としての高用量EPAが選択肢。「魚油サプリでとりあえず」という時代は、緩やかに終わりつつある。

食べ終わった皿、骨の整列。Plate VIII
CODA:編集後記

魚油をひとくくりにしていたあいだ、答えはずっとぼやけていた。種類と比率と量を分けると、絵がはっきりする。純EPA・高用量は治療として、青魚は食事として。「とりあえず魚油サプリ」の時代は、静かに終わっていく。

編集部

WordsAMPL Editorial

EditorKen Okamoto, MD