超加工食品、
犯人は脂と塩ではない。工程そのものが食を病に変える。
「これは加工食品です」と「超加工食品です」は、別の文を書いている。NOVA の線は、現代の食卓を二つに分ける。犯人は脂と塩そのものではなく、加工の工程そのもの。
Monteiro 2019 Public Health Nutr が公式に提示した NOVA 分類は、食を加工度で4階層に分ける。Group 1 は未加工・最小加工、Group 4 が超加工食品(UPF)。「家庭の台所で作れない素材・添加物(乳化剤・人工香料・色素・食感補強剤など)が複数入っているか」が、もっとも実用的な見分け方。
Hall 2019 Cell Metab の RCT は決定的だった。20人を 2 週間ずつ UPF 食と非加工食に交互に振り分け、栄養素プロファイル(カロリー・蛋白・脂質・糖・繊維・ナトリウム)をほぼ一致させて自由摂取させた。結果、UPF 食では1日 508 kcal 多く摂取し、2週間で約1kg増。「同じ栄養素でも、加工が食欲制御を壊す」という、初めての因果RCT。
Eat food. Not too much. Mostly plants.
ポーランは、栄養素を一つずつ数える「栄養主義(nutritionism)」が現代の食を複雑にし、かえって損なったと書いた。脂を何グラム、塩を何ミリと数える前に、そもそも「食べもの(food)」を食べているか。NOVA の線も同じことを別の言葉で言っている。栄養素プロファイルが一致しても、加工そのものが食卓を二つに分けるのだから。
Lane 2024 BMJ のアンブレラレビューは、45のメタ解析・約988万人の証拠を統合し、UPF 高摂取が心血管死亡 +50%、2型糖尿病 +12%、不安 +48%、うつ +22%、全死亡などを含む30以上のアウトカムと関連すると示した。Pagliai 2021 のSR/MAも独立に、全死亡・心血管・肥満で同じ方向の結果。
完璧な排除は要らない。家庭で作れる食材を増やし、UPF を「補助」の位置に下げる。外食でも、加工度の低い選択(定食・出汁・蒸し・焼き)を優先する。NOVA を意識するだけで、食卓の半分は静かに変わる。
栄養素を揃えても、加工の工程が食欲制御を壊す。脂と塩を数える前に、まず「食べもの」を食べているか。NOVA の線は、現代の食卓を二つに分ける静かな物差しだった。今夜の一皿が、どちらの側にあるかを、ただ見てみる。