栄養Vol. 096分で読む

ビタミンD、予防試験が調べた範囲。

VITAL試験以後、健康な成人での骨折・心血管・がんの予防効果はほぼ消えた。

Vitamin D, the null result.
NUTRITION — VITAMIN D, THE NULL RESULT

ビタミンD、
サプリは効かないという結論。

ビタミンDの物語は、2010年代の熱狂から大きく後退した。健常者にとって、サプリは魔法ではない。最大規模のメガRCTが揃って、null(効果なし)の結論を返した。

床に伸びる午後の光、本来の供給源。Plate II

VITAL という、決着の試験

がんと心臓を予防する魔法のビタミンというイメージは、ここで畳まれた。

Manson 2019 NEJM の VITAL 試験は、健康な米国人 25,871 人を 2,000 IU/日 のビタミンD₃ vs プラセボに振り分け、5.3年追跡した。一次アウトカム(侵襲性がん・主要心血管イベント)はいずれも有意差なし(HR 0.96 と 0.97)。「がんと心臓を予防する魔法のビタミン」というイメージは、ここで畳まれた。

陶器のスプーンに置かれた金色のカプセル。Plate III

骨折にも、効かなかった

欠乏や骨粗鬆症を基準に募集していない一般中高齢者の骨折予防についても、同じデザインで覆された。

欠乏や骨粗鬆症を基準に募集していない一般中高齢者の骨折予防についても、LeBoff 2022 NEJM(VITAL骨折サブスタディ)が同じデザインで覆した。総骨折HR0.98、非脊椎骨折HR0.97、股関節骨折HR1.01で、いずれも有意差はなかった。Bolland 2018 Lancet Diabetes Endocrinol の 81 RCT メタ解析も、骨密度・転倒・骨折のいずれにも効果がないと示していた。

0.98HR
ビタミンDサプリ × 骨折 · LeBoff 2022:VITAL骨折サブスタディ
棚に残る一本の小瓶、選ばれずにある。Plate IV

再現された null:D-Health

「VITAL は特殊な集団だった」という反論を封じる、独立した null。

VITAL とは独立に、Neale 2022 Lancet Diabetes Endocrinol の D-Health 試験(豪州、60歳以上、ビタミンD₃ 60,000 IU/月を5年)も、全死亡(HR1.04、95%CI0.93〜1.18)・癌死亡(HR1.15)に有意差なしと結論づけた。「VITAL は特殊な集団だった」という反論を封じる、独立した null。エビデンスは揃った。

影に置かれた瓶と、光を受けた手。Plates VI–VII
欠乏の治療は別の話

明らかな欠乏(25(OH)D <20 ng/mL)の補正は、依然として臨床上の意義がある。問題は「健常者の予防的サプリ」。日光(屋外15分/日)と魚(鮭・サバ)から取る方が、本来の経路。サプリは欠乏が確認されたときの選択肢。

空のピルケース、選ばれなかった処方。Plate VIII
CODA:編集後記

魔法のビタミンという物語は、VITAL で畳まれ、D-Health で繰り返し確かめられた。健常者にとってのサプリは、null のまま。本来の経路は、午後の光と、皿の上の魚にある。サプリは、欠乏が確認されたときの選択肢として、静かに残る。

編集部

WordsAMPL Editorial

EditorKen Okamoto, MD