← Vol. IV · NutritionIssue · 11  ·  Jul 24, 2026  ·  6 min read
栄養 · 第 11 号

塩とナトリウム、単位から読む。

WHOの目標は食塩1日5g未満。PURE研究のナトリウム3〜6gとは単位が違う。指針と観察研究を、同じ数字として読まない。

AMPL Editorial · Tokyo6 References
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  1. 01WHOは成人の食塩を1日5g未満(ナトリウム2g未満)とする目標を示す。ナトリウム3〜6gは食塩約7.5〜15gに相当し、5gという食塩の数字とは直接比較できない。
  2. 02PURE(O'Donnell 2014、Mente 2018)は朝の尿から摂取量を推定した観察研究。少ない群のリスクが高い関連だけで、減塩介入が有害だとは結論できない。
  3. 03JPHC(Takachi 2025)は男女83,048人を追跡し、男性でナトリウム量やナトリウム/カリウム比と死亡との関連を認めた。比を変える介入が優れると比較した試験ではない。
本文

食品表示の「食塩相当量」と、論文に出てくる「ナトリウム量」。まず、この二つをそろえたい。WHOの目標は食塩1日5g未満、ナトリウムなら2g未満である。観察研究の数字を読むときも、単位と研究方法から確かめる。

白い山、量を測る朝。Plate II

PURE が描いたJ字。

O'Donnell 2014 は、17カ国の約10万人で尿中ナトリウム排泄を測った。平均は1日4.93g。推定ナトリウム3〜6g(食塩換算で約8〜15g)の群で死亡と心血管イベントが最も少なかった。7g以上ではオッズ比1.15、逆に3g未満でも1.27と、両端でリスクが上がる。これは朝の尿から推定した摂取量と転帰の関連であり、減塩介入の効果やWHO目標が有害であることを示す結果ではない。

指先に残る、ひとつまみ。Plate III

ナトリウム量と血圧の関連。

Mente 2018は、地域の平均ナトリウム摂取量と転帰の関連を調べた。平均収縮期血圧は平均ナトリウム1gの増加につき2.86mmHg高かったが、地域の摂取量で関連は異なった。これは個人に減塩させた試験ではなく、5gは食塩量でも安全境界でもない。WHOの目標を否定する根拠としては読めない。

-5.71mmHg
白人の高血圧者の比較での収縮期血圧差
Graudal 2020 Cochrane:白人の高血圧者の比較。ナトリウムを約203→65mmol/日に減らしたRCT統合。白人の正常血圧者の比較は-1.14mmHg。
石の台、湯気の残り。Plate IV

量と比を、別々に読む。

JPHCは45〜74歳の男女83,048人を追跡した。男性の最高群と最低群を比べると、ナトリウム量で全死亡HR1.11、ナトリウム/カリウム比でHR1.19、早期の非感染性疾患死亡でHR1.27の関連だった。女性にも同じ結果が出たとは言えない。また、カリウムを増やすほうが減塩より優れると試験した結果でもない。

塩の匙と、青菜の束。Plates VI–VII
一杯の水、朝の静けさ。Plate VIII