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塩は、少ないほど良いと長く言われてきた。WHO の目標は1日5g。だが大規模コホートの一部は、ナトリウムが少なすぎる群でも死亡が増えるJ字を描いた。減塩の物語は、単純な右肩下がりではなくなっている。
PURE が描いたJ字。
O'Donnell 2014 は、17カ国の約10万人で尿中ナトリウム排泄を測った。平均は1日4.93g。推定ナトリウム3〜6g(食塩換算で約8〜15g)の群で死亡と心血管イベントが最も少なかった。7g以上ではオッズ比1.15、逆に3g未満でも1.27と、両端でリスクが上がる。減塩は、下げれば下げるほど良いわけではなかった。
血圧は、量に比例して動く。
Mente 2018 は同じ PURE の集団解析で、収縮期血圧がナトリウム1gあたり2.86mmHg上がると示した。ただし心血管疾患との関連が明確に出たのは、平均ナトリウムが1日5gを超える集団に限られた。塩が問題になるのは、すでに食べ過ぎている集団の話。そこに減塩の余地がある、と読める。
-5.71mmHg
高血圧者の減塩による収縮期血圧の低下
Graudal 2020 Cochrane — ナトリウムを約203→65mmol/日に減らしたRCT統合。正常血圧では-1.14mmHg。
量より、比かもしれない。
日本人約8万人を追った Takachi 2025(JPHC)は、別の角度を示す。ナトリウム単独では最高群の全死亡が11%増(HR 1.11)にとどまるが、ナトリウムをカリウムとの比で見ると19%増(HR 1.19)、早期の非感染性疾患死亡は27%増(HR 1.27)へ広がった。塩を減らすだけでなく、野菜や果物でカリウムを足す。分母を動かす発想が、日本の食卓には効きそうだ。